年頭所感-佐々木哲夫院長-

2017年01月04日

東北学院文化の継承

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     院長 佐々木哲夫

 新年明けましておめでとうございます。平成29(2017)年が皆様にとって祝福豊かな年となりますようお祈り申し上げます。

東北学院の文化
 東北学院は、本年、創立131周年を迎えます。その歴史と伝統は、建物や文書など目に見えるものだけでなく、各時代の同窓生、保護者、教職員の方々の献身的な協力という目に見えないものによって形成され、それらの複合した総体が、今日、東北学院の文化として継承されています。
 昨年竣工した土樋キャンパスの建物にその名前が冠せられた三校祖の1人ウイリアム・E・ホーイは、東北学院開院式(1892〔明治25〕年)での演説において「イエス・キリストへの信仰によって、さらに宇宙の創造者であり、支配者また至高の統治者であり給う神への祈りのうちに、この学校は6年前に人目に立たないささやかな礎を据えたのです。私たちはこのようにして建てました。またこのように続けてゆく決心です」と語り、「もしもキリスト教的な声が聞かれなくなり、キリスト教的影響がこれらの建物の中で支配的でなくなるようなことがあるならば、破滅の手よ、すべての梁、すべての煉瓦を引き倒して、塵と化せしめんことを」と述べています。このホーイ演説をかつて田口誠一元院長が新任教職員研修会の講演において引用し、建学のスピリットを過去のものではなく現在のものとして語りました。創設の理念は、今日、「建学の精神」(東北学院の三校祖、押川方義、W・E・ホーイ、D・B・シュネーダーは、東北学院の建学の精神を、宗教改革の「福音主義キリスト教」の信仰に基づく「個人の尊厳の重視と人格の完成」の教育にあるとした。その教育は、聖書の示す神に対する畏敬の念とイエス・キリストにならう隣人への愛の精神を培い、文化の発展と福祉に貢献する人材の育成を目指すものである)として継承されています。

文化の継承
 アメリカ合衆国のアイビー・リーグがそうであるように、私立学校は、固有の伝統や理念を基として創設されています。建学の理念は、私立学校の教育の基盤であり、文化の原点であり、様々な形で今日へ継承されています。例えば、キャンパスです。土樋キャンパスの正門を入ると講義や事務のために使われた本館(1926〔大正15〕年竣工)が正面にあり、西側にラーハウザー記念東北学院礼拝堂(1932〔昭和7〕年竣工)と東側に旧シュネーダー記念東北学院図書館(1953〔昭和28〕年竣工)が配置されています。講義と礼拝と研究のキャンパスです。このデザインは、シュネーダー院長の構想によるものです。建物群は、現在、宣教師館とともに国の重要文化財・登録有形文化財になっています。キャンパスの建物は、東北学院が目指す教育理念を体現するものですから、群全体の統一された外形や色調への配慮は重要です。キャンパスにたたずむとき、建物や立ち木を含む空間全体が、ささげられた崇高な目的や本質を私たちの五感に語りかけてくるからです。
 文化は、綺麗に整えて鑑賞する陳列物として存在するだけでは十分でありません。例えば、礼拝堂はその目的において活かされてこその存在です。倉松功元院長は、自著の中で宗教改革者ルターの言葉を援用した項目「学校が立ちも倒れもする礼拝」において「キリスト教の現実性、キリスト教の存在に触れる決定的な場が礼拝である」と記し、学校礼拝の重要性を強調しています。オルガンの音や讃美歌が響き聖書の言葉が説かれる礼拝堂は、東北学院の文化の結晶と言えます。
 20世紀のアメリカの神学者ラインホルド・ニーバーは、「神よ、変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。変えることのできないものについては、それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを識別する知恵を与えたまえ」と祈りました。星宮望前院長は、「冷静さ」について原語のserenity を引用し、その大切さを大学礼拝において語りました。勇気と冷静さと知恵を求める祈りは、今日の東北学院においても必要です。
 「TG Grand Vision 150」の第Ⅰ期中期計画の2年目の年である2017年は、宗教改革500周年の年でもあります。東北学院ならびに関係者の皆様に天からの祝福が豊かに与えられますようお祈り申し上げます。