学校法人東北学院

年頭所感

2013年01月01日

木の良し悪しは、その結ぶ実で分かる 


 
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理事長  平河内 健治
 


 謹んで初春のお慶びを申し上げます。
 昨年中は、東北学院の教育・研究・経営の各事業に対しまして、心温まるご理解と熱意溢れるご支援とご援助をいただき、厚く御礼を申し上げます。年頭にあたり、保護者各位、在校生、同窓生、教職員・理事・評議員・監事、コンサルタントの方々、そしてその家族の皆々様、さらに、東北学院に親しく関わって下さっている国内外のすべての関係者の方々のお一人お一人のご多幸をお祈り申し上げます。
 今年は干支で言えば、巳の年。蛇の年であります。蛇は体験的には嫌悪感を身体感覚にもたらし、嫌われ者ですが、知恵の表象でもあります。しかし、蛇の知恵は私たちを誘惑に誘う知恵でもあります。創世記三章の中で、禁断の知恵の木の実を食べるようエバを誘惑したのは蛇でした。神の命令に背く傲慢さの罪の罠でありました。
 一方、イエスは「蛇のように賢く、鳩のように素直になりなさい」と弟子たちに教えます。弟子たちのこの世への派遣は狼の群れに羊を送り込むようなものだとイエス自身認識していたからでした(マタイ10:16参照)。蛇の知恵を肯定的に利用してよいとしています。グローバルにもローカルにも、政治的・社会的・金融経済的に混迷を極める危機的な世界でよく生き、イエスに倣う建学の精神の具体化を教育・研究事業の中で共に担おうとする私たちへの愛の言葉であり、教えでもあります。
 それでは蛇のように賢い生き方とは、どのようなものなのでしょうか?イエスは言います。「偽預言者を警戒しなさい。彼らは羊の皮を身にまとってあなたがたのところに来るが、その内側は貪欲な狼である。あなたがたは、その実で彼らを見分ける。…すべて良い木は良い実を結び、悪い木は悪い実を結ぶ」(マタイ7:15-17)。真の預言者、真のリーダー、信頼される良き人間というのは、良き言葉だけでなくそれが指し示す行為が良きものでなければなりません。美辞麗句やかっこよさに惑わされることなく、実によって判断することが求められています。同時に、良き実を結ぶ語りも求められています。良き言とよき行、良き行と良き言の一致であります。良い木と悪い木、良い実と悪い実とを見分けられる無償の愛の生き方であります。
 東北学院は、本年創立以来127年目の神に仕える歴史を刻みます。神の導きに信頼を置き、ますます「地の塩」「世の光」の力を発揮し、人々に愛の奉仕をすることが東北学院に期待されております。今年は一昨年3月11日の東日本大震災からの復旧・復興の具体化の年でもあります。犠牲者の霊に添いながら共に創造の務めを果たす時であります。理事会は、七ケ浜町と多賀城市そして宮城県から復興住宅と道路建設のための土地譲渡の要請を受け、建学の精神に添うものと判断し、これらを受け容れることにいたしました。一方、東北大学片平校地南地区の一部と土樋キャンパスの隣接土地の取得も間もなく契約段階になります。アクセスのよい、アメニティー豊かな美しい大学キャンパスFair Gakuin作りを目指しております。長期的には、同一学部同一キャンパス具現化の夢を抱いております。ここを東北学院の各設置校間と地域の学術・文化・教育の交流の基地とする希望があります。本年も、呪いを捨て、祝いの喜びと感謝の年にしたいと念願しております。
 言うまでもなく、最も大事なことは器としての各設置校キャンパスに容れる教育・研究の中味の組織的な充実であります。本年4月に大学長と中学校・高等学校長が交代します。互いに新たな決意をもち、共に創造の知恵を結集し、神の栄光を表せるよう念願しております。理事会として、これを支援したいと思います。空手形の実効性のない無責任な議論で終わらせたくないと思っております。
 イエスはマタイ12章第33節で「木の良し悪しは、その結ぶ実で分かる」とさらに念を押しています。本年が、皆様そして東北学院が良い木となり、良い実を結ぶ一年となることを祈念し、年頭のご挨拶といたします。本年もよろしくお願い致します。