学校法人東北学院

年頭所感 -平河内健治 理事長

2014年01月06日

新年度に備えて


 
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    理事長 平河内健治


 謹んで初春のお慶びを申し上げます。
 昨年中は、東北学院の教育・研究・経営に関わる各事業に対しまして、皆様からは心温まるご理解と熱意溢れるご支援とご援助をいただき、厚く御礼を申し上げます。今年創立128周年を迎える東北学院の歩みが神の祝福を受け、主の御名が崇められますよう祈りを共にして行きたいと存じます。
 新年にあたり、皆様それぞれに抱負を持ち、希望に燃え、決意を新たにするものがあるかと想います。しかし、大きな不安の中におられる方もいらっしゃるかと思います。私立学校の教育・研究事業の継続も、少子化と高齢化、そして、世界的な経済の不安定の中でそれぞれの教育内容の充実と入学生確保のために、国公立と私学そして私学同士の熾烈な競争が強いられ、新自由主義の価値観に好むと好まざるとに関わらず妥協せざるを得ない部分があります。キリスト教に基づく建学の精神の維持は危機的状況にあると言って過言ではありません。それだけでなく、地震、津波、台風のような自然災害や原発事故、交通事故、内戦による虐殺、家庭内暴力など人為的要因によって命の脅威にすら晒されています。このような時に不安や危機感に溺れることなく、基本に立ち返り動き自分の身を保つことが求められます。
 すでに、各設置校は年度末にあって、不安を不安としながらも、将来像を見据え真摯に新年度の準備にあたっております。危機を乗り越えるべく、万全の準備態勢に入っております。この時期は、教会の暦では待降節とキリスト誕生の期節とに重なります。教会暦の新年は待降節で始まります。待降節の後、12月25日がイエス・キリストの降誕日、1月6日を公現日としています。公現日は東方の博士たちが星に導かれてキリストを礼拝しに来たことを祝う日です。異邦人に対する主の顕現の始まりとされています。よく知られたクリスマス物語の一つです。
 マタイ福音書二章にあるこの占星術の学者たちの物語は公生涯前のイエスの運命が命の危機に晒され、神の導きによっていかに逃れられたかを示しております。彼らは、ヘロデ王の悪巧みを知り、王のもとには戻らず、神のお告げに従い、幼子イエスを見出した場所を教えずそのまま帰国しました。その後、父ヨセフはヘロデがイエスを殺そうとしていることを知り、幼子とその母マリアを連れて外国であるエジプトへ逃れます。ヘロデはベツレヘムとその周辺一帯にいた二歳以下の男の子を一人残らず部下に殺させました。
 ヘロデが死んだ時、生まれた国イスラエルの地に帰ります。しかし、アルケラオが父ヘロデの跡を継ぎユダヤを支配していることを聞き、都市中心部に行くことを恐れ、ガリラヤ地方にある父と母の故郷であるナザレの町にイエスは住み着くことになります。すべて神様の導きによるものでした。
 このようにイエスは数々の死の恐怖や命の脅威に晒されながら、そこにのめり込むことなく、逃れる道を神様から与えられ、危険極まりない為政者のいる都会から一旦逃れて、辺境の地に引き下がり、宣教の業に従事する前に力を蓄えております。このことは今日の私たちの危機の中での決断にも示唆的なものがあります。不安や命の脅威から一旦身を引き、引き下がって距離をとり、周囲や先達たちの手助けを頼りに全力を尽くし、キリストと共に力を蓄えて事にあたることが肝要のように思われます。
 年頭にあたり、皆様お一人お一人のご健勝とご多幸をお祈りし、ご挨拶といたします。