学校法人東北学院

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年頭所感-原田善教理事長-

2024年01月09日

東北学院 第2世紀へ

 
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理事長 原田善教
 

 

 新年あけましておめでとうございます。2024年、東北学院創立138年という新しい年を皆さまとともに迎えることができましたことに感謝したいと思います。

 まず、2024年1月1日に発災した能登半島地震でお亡くなりになられた方々、そして亡くなられた海上保安庁の職員の方々に深く哀悼の意を表します。また、被災された皆さまに心よりお見舞いを申し上げます。2011年3月11日東日本大震災の被災地に所在する学校として、被災地の皆さまの一刻も早い心身ともなる平穏と早急なる復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。
 
 さて、新型コロナウィルス感染症は沈静化し社会に平穏が戻りつつありますが、2022年2月からのロシアのウクライナ侵攻は依然として収束の兆しを見せず、さらに、昨年10月からイスラエルとハマスのガザ地区における中東戦争は人道危機を引き起こし、一層、世界を不安定に陥れています。また、例年のごとく異常気象と言われる自然環境の変化は著しく、地球環境の「再野生化」が強まっています。地球市民としていかに環境適応していくかが問われています。予測不能な時代にあって、キリスト教学校としての東北学院として、早期の平和の実現と安定的な世界の到来を強く祈ります。
 
 国内に目を転ずれば、少子化の進行は著しく、2022年の合計特殊出生率は1.26、出生数は77万人と過去最低水準となりました。2023年度私学事業団『私立大学等の入学志願者動向』によれば、大学全体に占める定員割れ校の割合は53.3%となりました。2023年にはいくつかの私立大学が募集停止を発表したことは記憶に新しいことと思います。まさに私立学校の淘汰の時代が急速に進んでいます。一方、文部科学省は、2023年9月に中央教育審議会に「急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について」諮問を行い、私立大学の再編・統合に向けた方針を明確に示しました。私立学校がまさにいま危機の時代にあり、その存続可能性が問われています。
 
 こうした先の見通せない時代において、東北学院はその基盤として建学の精神とスクールモットー「LIFE LIGHT LOVE」を持ち、それを道標として前に進んでいます。東北学院中長期計画TG Grand Vision 150は、まさに「社会から選ばれる学校」としての東北学院を実現するための「導きの糸」にほかなりません。中長期計画TG Grand Vision 150の目標、つまり創立150周年を迎えたときの東北学院の姿は、東北・北海道地区で比類なき私立学校となっていることです。
 
 そこに向かう2022年度から始まる中学校・高等学校の共学化を伴う学校改革、幼稚園の子ども・子育て支援新制度に基づく施設型給付幼稚園への転換、そして2023年度には榴ケ岡高等学校における進学重視型単位制の導入といった教学改革、さらに大学五橋キャンパスの供用開始と新学部の開設は、東北学院が大きく変わりつつある姿を社会にアピールすることになりました。ベガルタ仙台との包括連携協定の締結もその一環です。その意味で、高等学校の2021年夏の甲子園大会初出場・初勝利は変わる東北学院へのエール、華々しい号砲だったように思われます。したがって、いまが東北学院の新たな第2世紀の始まりと捉えるべきであるといえましょう。
 
 さて、大学五橋キャンパスは変わる東北学院の一つの象徴です。しかし、それは単なる容器に過ぎません。何を入れるか、高等教育機関として教育内容の質を担保しなければなりません。2023年度開設の新学部の充実とともにダブルメジャー大学院改革にも取り組んでいます。現在のところ、新学部は、地域社会と連携して地域課題に取り組むとともに、データサイエンススキルを身に付け、国際性豊かな地域人材を養成しています。時代や社会の変化に敏感に対応して、さらなる学部学科の再編、大学院改革にも取り組んでいかなければなりません。
 
 中学校・高等学校は、「未来学力」をキーワードとする「共学化」を伴う学校改革を着実に進めます。「未来学力」のルーブリックに基づきその内実を一層ゆたかなものにして、その浸透を図っていかなければなりません。榴ケ岡高等学校は、コース制の特色を活かしつつ導入した「進学重視型単位制」の定着を図り、一層の教育内容の改革を進めています。また、両校とも、スクールポリシーを定め、教員の相互交流や研修会の合同開催など、これまで以上に教育の質向上に向けて取り組んでいかなければなりません。
 
 幼稚園については、子ども・子育て支援新制度に基づく施設型給付幼稚園の体制のもとで、建学の精神を堅持して充実した幼児教育を展開し、キリスト教教育は幼児教育でこそ十全に行われるとの認識を持ち、そのプレゼンスを高めてまいります。
 
 新しい年も各設置学校で教学改革が急速に進みますが、そこにはまだまだ課題が山積し、その解決のための財政上の制約は大きいものがあります。しかし、変革を怠れば停滞が、そしてその後衰退が待っています。リスクを恐れず積極果敢に挑戦してまいります。建学の精神に立脚し、継続性・法令遵守・説明責任という3つの経営理念を堅持しつつ、経済合理性に基づく学校法人運営を心がけ着実に遂行してまいります。そのためには、本院のスクールモットー「LIFE LIGHT LOVE」に支えられた教職員の心が、神の導きによって一つになることが前提です。そうした教職員の主体的・積極的な協力・貢献によって、本院の拠って立つ基盤である建学の精神に絶えず立ち返りながら、本院の進むべき方向を見誤らないように歩んでまいります。
 
 新しい年の初めに、覚悟と決意を示し、引き続き皆さまのご支援とご協力を強く願うものです。