学校法人東北学院

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東北学院史資料センター公開シンポジウム「日本国憲法と鈴木義男」を開催しました

2015年11月20日

 去る10月31日(土)、東北学院史資料センター主催の公開シンポジウム「日本国憲法と鈴木義男」が開催されました。このシンポジウムは、「大正デモクラシー」との関わりの深い元本院理事長の鈴木義男が、日本国憲法の成立にいかに貢献したかを検証すべく企画されたもので、会場の押川記念ホールには熱心な聴衆が早くから来場されました。  151120-1_7.jpg   まず第一部には、鈴木義男の姻戚にあたる清水まり子氏(長崎純心福祉文化研究会会員)が登壇。「日本国憲法と鈴木義男-生存権を中心に-」と題した講演の中で、日本国憲法第25条第一項の「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という規定は、当初のGHQ草案にも帝国憲法改正案(政府改正草案)にもなかったもので、憲法改正の審議が行われた帝国議会において、当時社会党の代議士であった鈴木義男らの修正提案によって成立したものであったという事実を、1997年に50年ぶりに公開された帝国憲法改正案委員小委員会(別称芦田小委員会)の審議経過を詳細に検証して明らかにしたことを報告しました。
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   続いて、仁昌寺正一経済学部教授が約10年にわたる研究を基にして、鈴木のキリスト教的人道主義の思想は、牧師であった父・義一と東北学院でのキリスト教に基づく人格教育が大きく影響しており、特に弁護士と政治家の時代に開花したとみることができると主張しました。

 第二部のパネルディスカッションでは、本学名誉教授の田中輝和氏が、憲法17条(国家賠償請求権)と40条(刑事補償請求権)を盛り込むことにも鈴木が関与しており、さらに憲法の根幹である「国民主権」を明記することにも貢献していることを指摘しました。また、宮川基法学部教授は、鈴木が弁護士として多くの事案に関わった治安維持法違反事件については、これまで判例研究がほとんどなされていないといった問題点を指摘しました。
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   会場からも様々な質問が出されましたが、最後に司会の齋藤誠法学部教授が「鈴木の貢献は日本国憲法の全般に及んでおり、再評価が必要である」と結び閉会となりました。

 東北学院史資料センターでは、今後も、本学に関わった先人達を取り上げた講演会等を企画してまいります。