学校法人東北学院

理事長・院長室

理事長メッセージ

発展・進化する東北学院

理事長
理事長
原田 善教

2020年代に入ってからの急速な少子化の進行は、我々の眼前に人口減少社会の到来を現出させています。2019年の学校基本調査によれば、18歳人口は2024年に、したがって15歳人口はその3年前2022年に底を迎えます。とりわけ東北地方の人口減少は他の地域よりも顕著で、その影響は大きいと言わざるを得ません。かつて日本創成会議が創り出した「消滅可能性都市」という言葉が想起され現実味を帯びてきた感があります。こうした少子化と人口減少は教育産業を斜陽産業化し、私立学校は存続の危機に瀕しています。そのような中にあって、東北学院は「存続できる学校」、「社会から選ばれる学校」として次の世代にその歴史と伝統を刻んでいかなければなりません。

また、現代は「VUCA」の時代と言われています。Vは「Volatility」、Uは「Uncertainty」、Cは「Complexity」、Aは「Ambiguity」を意味します。変化が大きく不確かで複雑かつ不透明な世の中がやってきたということです。まさに先を見通すことが、いよいよ難しい時代になったと言うことでしょう。そうであればこそ、まさに強固な建学の精神に基づく変わることのない一貫した教育方針を持つ私立学校の強みがそこにあると思います。したがって、建学の精神の基盤の上に中長期計画(Vision)を提示し、それに基づく行動(Action)を起こしていくことが必要であり、求められていると言えるでしょう。

そうしたことについて本院は、すでに創立150周年を見据え2015年に、TG Grand Vision 150を策定し行動計画を明示してきました。2021年度から第Ⅱ期中期計画が開始されることになります。これまでの第Ⅰ期中期計画と大きく異なっていることは、第一に、法人及び各設置学校の将来像を明確化し、それに向けて数値目標を設定したことです。第二に、各設置学校の特色を明確化・先鋭化するために特定プロジェクトを設定し予算化したことです。教育の質向上に向けて、基本的なことを着実に実行しながら新たな課題に挑戦していく姿勢こそが求められます。こうした努力が教育の質保証を担保することにつながります。

東北学院の現下の目標(Goal)は、2023年4月、大学五橋キャンパスの供用開始に設定しています。外から見てすぐにわかる「変わる東北学院=発展・進化する東北学院」の象徴だからです。と同時に五橋キャンパスという入れ物に入れる大学の中身も大きく変わろうとしています。これに照準をあわせて2022年4月の中学校・高等学校の共学化を伴う学校改革、幼稚園の制度改革も進んでいきます。榴ケ岡高等学校はコース制の完成年度を迎えます。まさにメタモルフォーゼです。広報を一元化し、積極的・戦略的に広報していきます。

2020年からは新型コロナウイルス感染症の拡大によって大きく社会生活が変容し、それとともに教育のあり方が問い直される年になりました。しかし、教育の本質は対面と対話にあることは言うまでもありません。教育機関である学校は「場の産業」です。なぜなら、人と人との出会いこそが個々の人間形成に不可欠だからです。まさに「学習者目線」での教育体制の構築にこれまで以上に取り組んでいく覚悟です。

また、2021年は東日本大震災から10年の節目の年です。東北学院は地域に根ざした学校として、これまでたくさんの有為な地域人材を世に送り出してきましたが、東日本大震災は、地域に有用な人材を育てていくことが何より大切だということをさらに私たちに教えてくれました。これからもそれは変わりません。東北学院は、ますます一層地域に寄り添い、地域とともにある学校として、地域人材を育ててまいります。

建学の精神に基づくスクールモットー「LIFE LIGHT LOVE」を胸に刻み、神のお守りのもと、教職員、学生・生徒・園児が東北学院のアイデンティティを共有して「発展・進化する東北学院」の一員として一丸となり、目標の実現に強い決意と覚悟を持って歩んでまいります。今後とも、卒業生をはじめ、地域社会の皆さまの一層のご支援をお願いいたします。