学校法人東北学院

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歴史的背景の報告と貴重な史資料を公開 東北学院史資料センター2016年度公開シンポジウム 「学都仙台と戦争」開催報告

2016年10月07日

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 東北学院史資料センター2016年度公開シンポジウム「学都仙台と戦争」が、10月1日に土樋キャンパス押川記念ホールにおいて開催されました。
 今回のシンポジウムでは、古代の交通史が専門であると同時に、これまで学都仙台のさまざまな側面を明らかにされてきた東北大学史料館准教授の永田英明氏と、東北大学資料館にも勤めた経歴があり、現在は東京大学文書館特任助教である加藤諭氏、そして本学文学部教授であり、2014年4月に設置した東北学院史資料センター所長の河西晃祐氏の3名が、それぞれ異なる視点からこれまで収集された調査データや貴重な写真などを交えて「学都仙台と戦争」について報告しました。
 最初に登壇した永田氏は「学都仙台の学生と戦争」と題し、①“学都仙台”という言葉が使われたのが1905(明治38)年であり、大正時代以降定着したこと、②1941年以降に多くの学生たちを徴兵するために大学や専門学校では繰り上げ卒業が行われたこと、③戦後、学生たち自身が現在の大学生協のような学用品の調達組織を立ち上げ、学校の枠を超えて連携して学生演劇や学生新聞を発刊したことなどを報告し、「集めた貴重な資料は長い時間をかけてでもじっくり目を通し、いろんな大学と連携しながら学都仙台と戦争の全体像をこれからも見ていきたいと思います」と話しました。
 続いて登壇した加藤氏は「大学アーカイブズにみる戦前・戦時期の記録—東京大学文書館所蔵資料を中心に−」と題し、①国立大学では学徒出陣・学徒動員の調査を行ったのは東京大学が最初であること、②戦時中は大学と国家との距離が近かったために東京大学戦没同窓生の碑がキャンパスの外に建立されていることなどを報告し、「学徒動員・学徒出陣というのは90年代以降各大学が公式な記録としてデータを蓄積しています。ただし、調査は学内に留まっていて、もっと情報をオープンにして共同研究していくことが必要です。一方、学籍簿などは扱いが難しく、どの範囲まで公開するべきか、大学側にどう理解してもらうのかなどの課題があるのが実情です」と報告しました。
 最後に登壇した河西氏は「戦時下の東北学院」と題し、本学の歴史を振り返りながら、かつての宮城野原練兵場が現在の楽天Koboスタジアム宮城などとなり、かつての多賀城海軍工廠が現在の本学多賀城キャンパスとなるなど、学都であり軍都であったことが仙台の都市発展に大きな影響を与えた経緯を解説しました。
 また戦時中は本学の建学の精神であるキリスト教主義を守り続けなければいけなかった試練の時期、繰り上げ卒業や文系学部の募集停止措置によって収入(学費)が止まってしまうなど、当時は専門学校だった本学が、帝国大学や高等高専に比べてシビアな経営状態を迫られていたことを指摘しました。
 また本来、敗戦の時期に焼却されて当然だった、軍と本学とのやりとりが記録されている学校教連の史資料などは、他の大学には残されていない貴重な史料であると報告しました。
 なお、東北学院史資料センターでは、同窓生や地域の方々からの史料の寄贈を募っております。お問い合わせは、電話022-264-6538までご連絡ください。

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