学校法人東北学院

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年頭所感-松本宣郎理事長・院長-

2020年01月06日

2020年を迎えて

 
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    理事長・院長 松本宣郎


 新しい年を迎えました。皆さまにこの2020年が神さまの祝福によって素晴らしい年となりますよう、心よりお祈りします。
 私たちから見て「未来」は前に、ではなく後ろにあるのかもしれない、という話をしたことがあります。「過去」はわかったことなので目の前にあると言えるけれど、「未来」のことは後ろにあるのと同じで全然わからない、見えない、というわけです。
 21世紀に入ってはや20年の年ですが、世界と日本にとってはまさに危なくて後ずさりが安心して出来ないほど、何が起こるか分からない1年が待っているような気がします。寛容さが失われ、思いやりが薄れ、自由と平和、民主主義という言葉が消し去られていきます。地球の自然環境の破壊を止めようとする努力など後回しにされています。AI技術の進捗が人間性を軽んじています。
 私たちはこのような「未来」から逃れることは出来ません。世界が正しく、よい、人間的なものとさせる歩みを着実にするしかありません。東北学院も同じであります。未来の地域と世界の若き担い手を教育し、送り出していく営みに励むのであります。幸いなことに本院の現在は、TG Grand Vision 150の計画の遂行というしっかりとした指標をもって進んでおり、その歩みはほぼ順調と言えましょう。
 大学卒業生の就職状況、高校生の進学結果は好調です。受験者数の減少と学生生徒確保の困難さが増していることは不安材料ではあります。しかし、「私たちの目の前にある過去」の東北学院の伝統は、その不安を打ち消すだけの成果を示しているのではないでしょうか。
 私が本院大学長に就任したのは7年前の2013年4月でした。そのとき同窓会の会合で語られていたTG同窓生の数は15万人台でした。それから7年、現在ではその数は19万人に近い、と言われています。土樋のキャンパスは3年前、少し広がり、正門向かいには瀟洒なホーイ記念館が出来ました。中学・高校にはコース制が設けられ、大学進学のレベル上昇が期待されます。「文武両道」のスローガンも健在で弓道などで生徒が活躍しています。榴ケ岡高校も着実に歴史を重ね、昨年は創立60周年を祝いました。野球では甲子園にあとひと息までいきました。幼稚園は預かり保育にも積極的で、多様な子どもたちを生き生きと育てています。
 先ほど「後ろにある未来」はまったくわからないような言い方をしましたけれど、私たちが未来に実現させたいことは勿論たくさんあります。まだ形になっていない、という意味で目には「見えない」のですが。2023年度に完成予定の五橋キャンパス、昨年11月に解体工事が着手されました。今年9月には新築工事が始まるでしょう。目をみはらせるような十字架をいただくホール棟はじめ4つの建物が東北学院大学の新しい顔をつくることになるでしょう。中学・高校、榴ケ岡高校、幼稚園にもそれぞれの計画があります。
 これらの未来の希望と夢を見えるものとさせてくださるのは神さまです。私たちはそのことを今年もスクールモットーに立ち返りながら信じていたいと思います。「地の塩」として堅実にはたらき、「世の光」として不正を許さず、平和を実現させるのです。
 これと並んで改めてLife, Light, Loveの3L精神を強く掲げたいと思います。3L精神は、「見えにくい未来」をしっかりとした足取りで見えるようにする支えになるのです。もっとも「地の塩、世の光」に比べて観念的で説明しにくいところがあります。これを日本語でどう表現するか。「命・光・愛」「いのち・ひかり・あい」。ここでは「いのち・ひかり・愛」としてみました。3つともすべてキリストにしっかり結びつく言葉であることを『チャペルニュース』に記しました。そうすると、「キリストに与えられた「いのち」を得た私たちは他者の「いのち」をも尊び、キリストの「ひかり」に照らされて明るくよい世界をつくり、キリストに「愛」されて神を「愛し」、隣人を「愛する」ということになります。このように生きる私たち、私たちの愛する東北学院は必ず「未来」の計画を実現することができる、と確信するものです。
 東北学院の一員に加えていただいて7年。毎年新年号の『時報』に文章を記す機会を与えられました。1年ごとに東北学院が神さまの目からみてしっかりと正しく歩んで来られたことを喜びつつ記せたことを感謝しています。2020年の本院の営みも変わらずあることを心より願っています。