学校法人東北学院

新着情報

【敬神愛人】青根セミナーハウスのこと(史資料センターWEBコラム)

2020年08月06日

 宮城県柴田郡川崎町青根温泉は、仙台藩伊達氏の御殿湯も置かれた温泉郷です。現在、ここに「青根洋館」と呼ばれるひとつの洋館が存在します。この洋館の側面には「贈 学校法人 東北学院 平成13年5月29日 旧東北学院自然科学研究所青根分室」と書かれたプレートが設置されています。この洋館はもともと東北学院のセミナーハウスとして使われていた施設を移築したものです。

200806-1_1.jpg


 東北学院自然科学研究所青根分室は、1959(昭和34)年11月に「先生と学生、または学生同士で宿泊できる教育施設」として米ヶ袋の旧宣教師住宅を移築したことから始まります。1959年12月6日付の『東北学院時報』では周辺の様子を「敷地約千三百坪、西北に大きな山々を背景に東南は開けて仙南平野を見下ろす眺望絶佳の地である」と評しています。

200806-1_2.jpg
建設当時の東北学院自然科学研究所青根分室


 この東北学院自然科学研究所青根分室に続き、1966(昭和41)年12月には近代的な建築様式の青根セミナーハウスが建設されました。これ以降、東北学院自然科学研究所青根分室は旧館、青根セミナーハウスは新館と呼ばれるようなり、その後、七ヶ浜町に建設された高山セミナーハウスに対して「山の家」として親しまれました。
 1967(昭和42)年1月28日付の『東北学院時報』にはこのセミナーハウスの利用規定が抜粋されています。そこでは、「②本施設の利用者は、原則として東北学院教職員(各家族)および学生、生徒とする。ただし、この目的に反しない範囲において、学内使用に支障のない限り、教会、キリスト教主義学校、本院同窓会員本院父兄後援会員に貸与することができる」という利用者に関する規則や利用料金に関する規則が挙げられています。

青根セミナーハウス利用料


 この青根セミナーハウスは、学生のゼミ合宿や教職員修養会、宗教委員会、青山学院大学との合同合宿などの際に利用され、最盛期には年間の利用者数が1万人近かったと記録されています。また、当時ゼミ合宿などで青根セミナーハウスを訪れた際には、青根温泉の近くにある滝見台や不動滝、峩々温泉方面への散策なども行われ、蔵王の自然を堪能できることも青根セミナーハウスの魅力のひとつだったようです。さらに、この青根セミナーハウスの近くには小田忠夫学長が眠る公園墓地があり、宿泊した次の日の朝に墓前礼拝を行うこともあったそうです。
そんなセミナーハウスですが、昭和50年代後半から徐々に利用者数が減少していき、建物の老朽化も相まって1999(平成11)年3月には閉館が決定しました。その後、旧館である東北学院自然科学研究所青根分室は、明治時代後期から大正時代の様式がうかがえる現存する数少ない洋風建築であることから、2001(平成23)年には川崎町へ譲渡されることになりました。
そして、2003(平成15)年には現在の位置に「青根洋館」として移築復元されました。一階は観光案内を兼ねたカフェとなっており、二階には青根温泉とゆかりのある国民栄誉賞を受賞した作曲家である古賀政男に関する資料が展示してある古賀政男記念館が設けされています。

200806-1_3.jpg 200806-1_4.jpg
現在の青根洋館 東北学院青根セミナーハウス跡地