学校法人東北学院

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年頭所感-原田善教理事長-

2022年01月04日

希望とともに、前へ

 
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理事長 原田善教


 新年あけましておめでとうございます。2022年、東北学院創立136年という新しい年を、皆さまとともに迎えることができましたことに感謝したいと思います。

 繰り返し言われていることですが、少子化の時代が進むとともに私立学校は冬の時代を迎え斜陽産業と化しています。生き残りをかけた私立学校の競争は激化しています。例えば日本私立学校振興・共済事業団によると、2021年度の4年制私立大学の入学定員充足率は99.8%となり、1989年度の調査開始以来初めて100%を切りました。定員割れの私立大学は全体の46.8%に達し、いよいよ淘汰の時代がやってきたという感じがします。まさに危機の時代です。『原子力安全の論理』では、危機に直面した際にとる行動から人間を4つのタイプに分類しています。(1)やるべきことをきちんとやる人、(2)やるべきことを全くやらないか、不十分にしかやらない人、(3)やってはいけないことをやる人、(4)やってはいけないことをやらない人です。深刻な危機の時ほど多くの人は(2)や(3)に陥るとも言われています。神の導きによって(1)のやるべきことをきちんとやる人として学校法人東北学院の舵取りを担っていきたいと思います。

 厳しい時代にあっても歴史と伝統ある東北学院はこれまでも生き抜いてきたように、これからも力強く生き抜いていかねばなりません。そのためにまず、スクールモットー、LIFE LIGHT LOVE のもと、TG IDENTITYを確立していくことが重要です。我々は何のためにここにいるのか、そしてどこに向かっていくのか、キリスト教を建学の精神とする私立学校として絶えず問い続ける必要があります。こうした問いに対しては、何よりも学生・生徒・園児のための学校であること、学校は何よりも学生・生徒・園児の成長を支える存在でなければならないと言わなければなりません。そのためには、教育内容を絶えず見直し刷新していくこと、そしてそうした教育の質を保証していくこと、これらが最も重要なことです。

 この具体的取り組みが、大学では五橋キャンパスの建設であり新学部の設置です。中学校・高等学校では共学化を伴う学校改革です。榴ケ岡高等学校ではコース制の完成に伴う教育内容の検証です。幼稚園では施設型給付という新制度への移行です。このように各設置学校はそれぞれ必要とされる改革に取り組んでいます。こうした取り組みにはリスクが伴います。しかし、昨年のテレビCMで流行った「リスクを冒さないことこそ、最大のリスクだ」というフレーズのように、積極的にリスクを取って前に進んでいかなければ何も得られないと考えています。

 ギリシャ神話に「パンドラの箱」という話があります。「開けてはならない箱を開けたがために人間にあらゆる災厄が降りかかることになったが、箱の底にはたった一つ残ったものがあり、それが『希望』であった。『希望』があることによって人間は生きることができる」。そのような話だったと記憶しています。先ほどお話しした各設置学校における取り組みは、まさに東北学院にとっての「希望」であると思っています。

 作家の村上春樹氏は以前、「人は自分の過去現在未来を物語化しないとうまく生きていけないもの。でも今の若い人は自分の未来についてポジティブな物語をうまく作れているのだろうか」と語りました。「教えるとは希望を語ること」というフレーズがあります。私たちは、若い人たちが希望をもって明るい未来を描けるように教え導いているでしょうか。新年に当たり、神の導きによって東北学院の中長期計画TG Grand Vision 150のビジョン「豊かに学び 地域へ 世界へ-よく生きる心が育つ東北学院-」の実現に向けて注力し、それを皆さんとともに実感できるようになりたいと強く願うものであります。