学校法人東北学院

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年頭所感-原田善教理事長-

2023年01月04日

新たなステージへ希望とともに

 
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理事長 原田善教


 新年あけましておめでとうございます。2023年、東北学院創立137年という新しい年を皆さまとともに迎えることができましたことに感謝したいと思います。

 コロナ禍4年目を迎え、世界でも日本でも一向にコロナ終息の兆しを見ることができない状況にあります。昨年2月からのロシアによるウクライナ侵略についても解決に向けての兆しを見ることができません。日本の合計特殊出生率が2021年に1.3と低下し、急速な人口減少社会の到来を明示しています。18歳人口で見ると、文部科学省によれば2022年の113.1万人から2032年には98万人となり、さらに2040年には88万人にまで減少すると予測されています。地域別では、東北地方の減少率が最も大きく20.5%減となっています。こうした予測は私立学校にとって競争環境の激化を意味し、淘汰の時代をもたらしています。2022年度私学事業団『私立大学等の入学志願者動向』によれば、入学定員充足率は100%を超えたものの定員割れ校は全体の47.5%まで増加し、大規模校と都市部の大学が入学者獲得に有利な状況と分析しています。

 こうした先の見通せない時代において、東北学院は何を道標にして先に進んでいくべきでしょうか。東北学院には堅固な建学の精神があります。これこそが東北学院のレゾンデートルにほかなりません。その具体的表現がスクールモットーLIFE LIGHT LOVEです。新しいTGブランドの構築のために、創立150周年に向けての工程表を示したものがTG Grand Vision 150です。これこそが東北学院のアイデンティティにほかなりません。これを具体化・視覚化するものとして新たなブランドマークを制作したところです。新年度より様々な場面で大いに活用してまいります。

 伝統とは「規範的なものとして世代を超えて受け継がれた精神性」を意味し、それが建学の精神であり、スクールモットーです。いま私立学校として東北学院が存在・存続しているのは、校祖や先達が建学の精神に基づいて様々な苦難を経て作り上げてきたからであり、彼らは我々にとってまさに「よき祖先」であったと言えます。我々も「未来を植民地化しない」ことを心に刻み、「よき祖先」となる覚悟を持たなければなりません。

 大学五橋キャンパスの完成は大いなる革新であり、教育施設・設備の革新のみならず、教育方法・内容の革新でなければなりません。施設・設備の革新と相まってコロナ禍で獲得したイノベーティブな教育上のスキルを一層向上させ、十全なる教育の質保証を確立していかなければなりません。建学の精神を通奏低音として新たな教育内容へと革新されていく姿こそ新たなTGブランドであるのです。時代や社会のニーズに応えた新学部学科の創設はその一環です。五橋キャンパスは文理横断・文理融合教育やグローバル教育の拠点であるとともに地域社会との連携の拠点でもあり、学生は教場だけではなく地域社会で学ぶことも多く、これを意識した教育改革でなければなりません。五橋・土樋を一つのキャンパスとして伝統と革新が融合する拠点として展開していくことが求められており、強く意識すべきことです。

 東北学院中学校・高等学校では、「未来学力」をキーワードにした共学を伴う学校改革が2022年度より進められています。多くの受験生と入学者を獲得したことは、キーワードとしての「未来学力」が受験生や保護者に、そして社会に大きく受容された結果だと確信しています。そのルーブリックも策定し「未来学力」の内実を一層ゆたかなものにして、さらにその浸透を図っていくことが重要です。

 東北学院榴ケ岡高等学校では、2019年度から導入したコース制の検証の結果、その特色を活かしつつ3年次を中心にコースの垣根を越えた「進学重視型単位制」を2023年度より取り入れることにしました。

 東北学院幼稚園は、2022年度に開園60年を迎え、施設型給付幼稚園として新たにスタートしたところです。隣地の多賀城キャンパスが移転し環境が変わりますが、多賀城の地にあってキリスト教に基づく幼児教育の拠点としてその存在意義を十分に発揮していきたいと考えています。

 予測不能な時代に、学校法人として一体的な各設置学校の改革の取り組みが「暗闇の中における光」、希望です。「希望は、自ら積極的、献身的に行動してこそ得られ」、「希望を叶えるには覚悟と努力が必要であり」、そして「希望をいだくとは、楽観して問題を軽視することではない。問題にきちんと取り組むことだ」とジェーン・グドールは教えます。まさに一人一人が自分の問題として学校改革に真摯に取り組むことによって、2036年東北学院創立150周年のときに、地域社会に多くの有為な人材を輩出する比類なき学校として存立していたいという希望の実現に向けて、皆さんとともに歩みを進めたいと願うものです。