学校法人東北学院

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年頭所感-原田善教理事長-

2025年01月06日

変わる東北学院

 
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理事長 原田善教
 

 

 新年あけましておめでとうございます。

 2025年、「もしトラ」が「またトラ」になり、世界は一層不安定に陥ると予測され、ますます先の見通せない時代となりました。感染症の脅威は沈静化したとはいえ、ロシアやイスラエルによる戦争は収束の兆しを予測できません。悲惨な争いが絶えることのない世界にあって一刻も早い平和の実現を願います。

 能登半島地震からの復興は豪雨災害もあり、未だ進んでいません。長く暑い夏や局地的豪雨の頻発は地球環境の激変を実感させ、私たちに意識改革を迫っています。

 一方、我が国の少子化は予想をはるかに超えるスピードで進行しています。例えば18歳人口は、2023年が109万人だったのに対して同年の出生数が73万人でしたから、2041年には36万人減少する計算になります。また、人口減少の割合を2023年から2035年で全国と東北で比べると、東北は20%超減少、全国は11%減少と予測され、東北の減少率が著しいことが分かります。昨年11月に文部科学省は大学進学者数の推計を発表し、大学進学率が伸長したとしても2040年の大学進学者数は全国で40万人台、定員充足率は70%台となり、宮城県では、私学の定員充足率は62.5%に、入学者数は38%減となるとしました。また、2024年度私学事業団「私立大学等の入学志願者動向」によれば、大学全体に占める定員割れ校の割合は2023年の53.3%から59.2%に上昇しています。幼稚園や中等教育部門ではもっと前に、この状況に陥っています。つまり、私立学校は競争激化と淘汰の時代にあり、地域一番店の学校でも何もしなければ瞬く間に淘汰され消滅してしまう、そういう時代に私たちは生きているのです。

 こうした状況を踏まえ、文部科学省中央教育審議会大学分科会特別部会は、2024年12月に「急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について(答申案)」を発表しました。そこでは、高等教育の「規模の適正化」を目指して、特に高等教育機関間の連携の支援、再編・統合の推進、縮小・撤退の支援を打ち出し、私立大学の淘汰に向けた方針が示されました。私立学校はいままさに危機の時代にあるのです。

 こうした先の見通せない時代において、東北学院はその基盤として建学の精神とスクールモットー「LIFE LIGHT LOVE」を持ち、新ブランドマークの下でTGアイデンティティを高め、それらを道標として前に進んでいます。TG Grand Vision 150は、「社会から選ばれる学校」=「比類なき学校」としての東北学院を実現するための「導きの糸」にほかなりません。

 この5年間、東北学院は大きく変わりつつある姿を社会にアピールしてきました。中学校・高等学校の共学化や大学五橋キャンパスの開学は変わる東北学院の一つの象徴です。こうした変わる姿はそこで学ぶ学生・生徒にとっても本院にとっても豊かな未来を創り出し、相互にWIN-WINの関係をもたらします。こうした関係は地域社会にとってもWINな関係へと転換することが求められています。この関係こそが「三方良し」のWIN-WIN-WIN(トリプルWIN)の関係です。本院はこれまでさまざまな機関と連携協定を締結しています。例えば、ベガルタ仙台との連携では、本院とベガルタ仙台のWIN-WINの関係だけではなく、そうした連携が地域社会にとってもWINになること、つまりさまざまな意味で地域社会が元気になることを目指さなければならないのです。連携協定とはそうしたトリプルWINを実現させるものと考えています。

 地域貢献として学校の役割は地域社会に有為な人材を供給することですが、同時に多くの人を集め地域社会に賑わいを創出することも大きな役割です。本院には、仙台市中心部に大学があり多くの学生がいます。東に中学校・高等学校があり多くの生徒がいます。北には榴ケ岡高等学校があり多くの生徒がいます。本院は仙台市内の3ヵ所に学生・生徒が集う賑わいの場所を持っています。それらの賑わいが3つの輪(Three Wheel)として中心部に向けて浸透していくことで地域社会の活性化に寄与できると考えています。このように学校が地域社会を活性化する役割を果たすことが重要であり、その中心的役割を本院が担っていく覚悟を持ちたいと思っています。

 さて、大学では高等教育機関として「地域連携、情報教育、グローバル教育」の一層の充実と「アントレプレナー教育」の展開が、これからの教学改革の柱として重要です。これらは中高大連携の取り組みでもあります。その上で、時代や社会の変化に敏感に対応して、新学部の開設や既存学部の再編、大学院改革にも取り組んでいます。大学院改革は、社会から要請されているリカレント・リスキリング教育の充実という観点から取り組んでいます。さらに教育環境整備として、老朽化した土樋キャンパスの再整備計画を進めます。土樋・五橋キャンパスを一つのキャンパスとして効果的に運用するために、中間地点に新棟を建設する計画を具体化することにしています。

 中学校・高等学校は、共学が完成し「新しい学校」として「未来学力」をキーワードとする学校改革を着実に進めます。従来からの文武両道を堅持しつつ「未来学力」の内実を豊かなものにしてその浸透に努めます。榴ケ岡高等学校は、大学泉キャンパス2号館への移転による教育環境の充実に基づいて「進学重視型単位制」の定着を図り一層の教育改革を進め、競争力の向上に努めます。幼稚園については、園児の認知能力の向上はもとより非認知能力の向上に向けて取り組み、充実した幼児教育を展開します。

 以上のように、2025年度も「変わる東北学院」=「現状の延長線上ではない東北学院」を意識して、各設置学校において教学改革を進めてまいります。しかし、変革を怠れば停滞が待っています。現状に安住することは滅びへの道です。リスクを恐れず積極果敢に挑戦し、本院の拠って立つ基盤である建学の精神に絶えず立ち返りながら、本院の進むべき方向を見誤らないように進んでまいります。

 新しい年の初めに、覚悟と決意を示し、引き続き皆さまのご支援とご協力を強く願います。