【敬神愛人】土樋キャンパスの生き証人 キャラボクの老木(史資料センターWEBコラム)
2026年08月06日
土樋キャンパスは2026(令和8)年9月に開設100周年の節目を迎えます。土樋キャンパスの東北学院大学本館前の広場には、キャンパス開設当初から現在まで、およそ100年にわたる歳月を見守ってきた1本のキャラボクの老木が悠然と佇んでいます。植物学上、キャラボクはイチイの変種ですが、形態が非常に良く似ていることから、地域によってはしばしば同一視され、北海道や東北などではイチイの別名である「オンコ」「オッコウ」と呼ばれることもあります。
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東北学院大学本館とキャラボク(中央)
(2026(令和8)年4月6日撮影)
D・B・シュネーダー院長が当初描いていた土樋キャンパスのマスタープランによれば、広場には国旗や校旗を掲揚するための「フラッグポール」を建てる予定だったようですが、のちに計画が変更となったらしく、実際には松が植樹されました。しかし、その松は根付くことなく、1年半足らずで枯死してしまいました。この松に替わって1928(昭和3)年に植樹されたのが、現在のキャラボクです。
このキャラボクは、仙台市に本社を置く百貨店である藤崎の役員などを歴任した資産家・佐藤源助によって寄贈されたものでした。佐藤は、1897(明治30)年頃に仙台市内の寺院跡地を入手し、庭園として整備していました。キャラボクは、同地から移植されたものと伝えられています。なお、この庭園は1960(昭和35)年に仙台市へ寄贈され、現在は良覚院丁公園(緑水庵庭園)となっています。このことから、キャラボクの現在の樹齢は少なくとも130年前後と考えられますが、移植の時点で既に「古木」だったとの証言もあるため、あるいは更に高齢なのかもしれません。
(1930(昭和5)年頃撮影) |
(1940(昭和15)年頃撮影) |
ところで、なぜキャラボクが広場に植える樹木として選ばれたのでしょうか。あくまでも推測に過ぎませんが、先に植えた松が早くに枯死してしまったため、植え替えに際しては、大型化しにくく美しい樹形を維持しやすいことに加え、生長は遅いものの寿命が長く、かつ比較的寒冷な気候にも強いといった、庭木に適したキャラボクの特長が重視されたのかもしれません。
かつて土樋キャンパスには、校地取得以前から存在した樹林や、とある中国人教員の学恩に報いるために記念植樹されたメタセコイアなど、様々な種類の木々が数多く生育していました。しかし、前者は1945(昭和20)年7月の仙台大空襲によって全焼し、後者は近年のキャンパス整備の一環で伐採されました。広場のキャラボクは、本館南側の桜(ソメイヨシノ)とともに、キャンパス草創期から残る数少ない樹木の一つなのです。
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近年、キャラボクの樹勢には衰えがみられ、一時は植え替えが検討されたほどでした。土樋キャンパスを象徴する老木の行く末を、今度は我々が見守ってゆく番なのかもしれません。
なお、下記の関連ページにつきましても、併せてご覧ください。
「土樋キャンパスと桜の来歴」(2018年4月12日掲載WEBコラム)
「本館前ロータリーの記念撮影」(2019年1月21日掲載WEBコラム)
大西晴樹「イチイの木はオンコの木」(2020年10月12日掲載学長ブログ)